魂の風 魂の酒
TACHY

最近読んでいるマンガに「もやしもん」というのがある。 醗酵をテーマにした一風変わったマンガなのだが、そのなかのエピソードに「龍神丸」という和歌山の日本酒が出てくる。 新しいモノや知らないモノに興味をそそられる俺としてはゼヒ試してみたいと思い、早速購入の手続きをとった。 いざ買おうとしてもこの酒、販売数量が極端に少ない上に蔵元では販売していないという商売っ気なしの酒で、 和歌山にある2店の酒屋でしか購入できない。そのなかの一店、新宮市内の「みゆきや」で購入することにした。
山猿 竜神丸 さて、いざ買おうとして、これまたマンガで仕入れた知識で「日本酒自家熟成」というのにも挑戦しようと思った。 簡単に言うとワインの熟成の日本酒版である。家の床下や冷蔵庫の中に何年も保存して楽しむものだそうだ。 それに合う日本酒を数本同時に購入した。さて、これからが魂エピソードの始まりである。

販売リストの中に「山猿」というのを見つけた俺は、これは魂メンバーで飲むしかない!と心に決め購入するとともに、 早速隊員に召集令状を発信した。当初どこかのキャンプ場で飲むつもりであったが、ラム地位の仕事の都合で結局北浦の 湖畔の桜並木に勝手にテントをはることにした。
時に2006年4月15日、今年は平成18年豪雪という名前もついたくらい雪が多く春が遅い。愛機で北浦を目指した俺は石岡あたりからもう寒くてしようがなくなりコンビニでホッカイロを探すがどこにもない。この辺に住んでる奴らにとってはこのくらいの陽気は寒いとはいわないのか、なんという民族なのだ。茨城県人とは!

とにかくエビとそのあとラム地位と合流し、現地を目指す。目指す地は意外と近くらしい。スーパーで買出しをする。 現地にいって驚いた。たしかに勝手にテントを張っても大丈夫そうなところだがものすごい風が吹いている。なぜか大量に泳いでいる鯉のぼりが狂ったように風をはらんでいる。こんなところに果たしてテントを張れるのか? どうするかしばし呆然としたあと、魂たちは魂の名に恥じない行動を開始した。近くのあずまやにドカシーを巻きつける。強風の中での作業は困難を極め、幾多の犠牲を払いつつ(大げさ!)俺たちは黙々とシートを巻きつけた。 巻きつけ終わると宴会場部分には風の直撃は防げたので、さらに2基のテントを平行に設営し、その間に鍋とコンロをセッティングした。今日のメニューはおでんだ。
おでん?

さて飲み会の開始だ。酒は龍神丸、山猿、金寶、金寶穏、参考に酒屋から分けていただいた30年物の古酒等のそうそうたるラインナップだ。
酔ってしまってからでは微妙な差がわからないので、30年古酒から飲む。う〜ん・・・、なんか浅田飴みたいな味だ。他のメンバーも複雑そうだったので早々に次の龍神丸へ、こちらはうまいとの評価を得て一安心。さらに山猿なども飲みいい気分だ。おでんをつつきながら飲んでいるが周りでは風が轟々と吹いており、コンロの火も今一弱く熱々おでんというわけにはいかないが俺たちは魂の飲み会を続けた。
酔いも宵も進んだ頃、それまで一人テント外に体を晒して飲んでいたラム地位が寒いと言い出した。そうでしょうそうでしょう、ということでエビのテントに入る。まるで童話の「てぶくろ」のようだ。それを合図にしたかのごとく、俺たちはすっかり酒に弱くなった中年オヤジのようにシュラフにくるまった。相変わらず風は吹きまくり、バタバタとものすごい音を立ててドカシーを煽っている。でも俺たちは泥のように眠ったのだ。

翌日、ラム地位は7時から仕事とのことでさっさと帰った。ご苦労様でした。 俺とエビはシートの後片付けなどをして帰った。
以上できれいな景色も快適な宿もないが、俺たちにとっては最高の飲み会は終了したのであった。
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